
強迫症(強迫性障害/OCD)は、不合理だとわかりながらも、何かに意識を囚われて何度も確認や同じ行為を繰り返してしまう疾患です。不安や恐怖に基づく強迫観念と、それに対処するための強迫行為が特徴の精神疾患です。これらの症状は日常生活や仕事、人間関係に影響を与えることがありますが、適切な治療と対応によって症状を管理することが可能です。
強迫症には以下のような特徴的な症状があります。
不合理だと分かっていても繰り返し浮かぶ考えやイメージ(例:汚染の恐怖、加害の恐れ、秩序へのこだわりなど)
不安を和らげるために行う繰り返しの行動(例:過剰な手洗い、確認行為、数を数える、特定の順番で物事を行う)
強迫症に大きく分けて5つのタイプがあります。以下の症状タイプは綺麗に区別できるものではなく、複数の症状を持っている場合や、強迫観念、強迫行為、それぞれ異なるタイプの症状の場合もあります。
洗浄強迫:病気になるのではないか心配になって(強迫観念)、汚いと思うものを触った後で何度も手を洗う(強迫行為)
ドアの鍵を閉め忘れて泥棒が入るのではないか心配になって(強迫観念)、繰り返しノブを回してドアを開けようとして確かめす(強迫行為)
運転しているときに振動や音を感じると、誰かをひいてしまったのではないか心配になって(強迫観念)、戻って現場を確認をする(強迫行為)
定期試験の勉強で、計算が正確にできたか気になって(強迫観念)、何度もやりしたり、読み直してしたり(強迫行為)する。
悪』、『死』という文字を見ると、頭の中で『善』、『幸』といった良いイメージの字に置き換え(強迫行為)なければ、火事や強盗といった恐ろしい出来事が自分の身に降りかかるのではないかと心配になる(強迫観念)
これらの症状は、本人の意志とは関係なく現れ、日常生活を妨げることがあります。
しかし、認知行動療法(CBT)を取り入れることで、強迫症の特性を理解し、適切に対処する力を養うことができます。
強迫症の治療には、大きく分けて薬物療法と認知行動療法が用いられます。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やその他の抗うつ薬が使用され、不安や強迫観念の軽減が期待できます。ただし、薬物療法だけでは根本的な症状の改善が難しいことがあるため、認知行動療法を組み合わせることが重要です。
認知行動療法は、強迫症の症状を管理するための有効な心理療法の一つです。強迫観念への対処法を学び、強迫行為を減らしていくことで、持続的な改善を目指します。
認知行動療法では、強迫症の症状に対処するために、以下のような方法を取り入れます。
不安を引き起こす状況に意図的に直面し(曝露)、それに対する強迫行為を行わないようにする(反応妨害)ことで、不安の軽減を目指します。
強迫観念の根本にある「もし〇〇だったらどうしよう」「絶対に〇〇してはいけない」といった極端な考え方を見直し、現実的な捉え方を身につけます。
不安は時間とともに薄れることを学び、強迫行為なしでも不安に耐えられるようになるトレーニングを行います。
強迫症の症状とうまく付き合うには、薬物療法だけでなく、日常生活に取り入れられる心理的アプローチが重要です。特に認知行動療法(CBT)は、強迫症の症状を理解し、行動を改善するための実践的な方法として有効です。
強迫症の症状に悩んでいる方は、CBTを取り入れることで、より充実した生活を送ることができます。適切なサポートを受けながら、症状のコントロールに取り組んでいきましょう。
※本ページの記載は各疾患に対して認知行動療法がどのように用いられているかを一般論としてご紹介するものであり、本サービスは、医療行為の実施を目的とするものではありません。
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