ADHD(注意欠陥多動性障害)
Attention deficit hyper activity disorder

ADHDとは

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動性・衝動性といった特性を持つ発達障害です。これらの特性は、日常生活や仕事、学業に影響を与えることがありますが、適切な治療と対応によって症状を管理することが可能です。

ADHDの症状と認知行動療法(CBT)

ADHDの主な症状

ADHDには以下のような特徴的な症状があります。

【ADHDの症状】
  • 不注意:物事に集中し続けることが難しく、細かい部分に気を配るのが苦手。
  • 多動性:落ち着いて座っていることが難しく、常に動き回る傾向がある。
  • 衝動性:他人の話を遮る、順番を待つのが苦手、考えずに行動してしまう。
 

これらの症状は、職場や学校、家庭生活において課題となることがあります。
(例:「仕事中に気が散ってしまいミスが増える」「会議中に話を遮ってしまう」など) しかし、認知行動療法(CBT)を取り入れることで、ADHDの特性を理解し、適切に対処する力を養うことができます。

ADHDの治療の選択肢

ADHDの治療には、大きく分けて薬物療法と認知行動療法が用いられます。

薬物療法

中枢神経刺激薬(メチルフェニデートなど)や非刺激薬が使用され、注意力や衝動性の改善が期待できます。ただし、薬だけでは長期的な行動改善が難しいことがあるため、認知行動療法を組み合わせることが重要です。

認知行動療法

認知行動療法は、ADHDの症状を管理するための有効な心理療法の一つです。行動のパターンを根本的に見直し、持続的な改善を目指します。

ADHDに対する認知行動療法のアプローチ

認知行動療法では、ADHDの症状に対処するために、以下のような方法を取り入れます。

自己認識の向上

ADHDの特性を理解し、自分の思考パターンや行動を客観的に振り返ることで、自己調整能力を高めます。

行動改善のための環境調整

注意を向けやすくするための環境づくりや、適切な習慣の構築をサポートします。例えば、下記のようなの方法が有効です。

【方法】
  • 仕事や学習の環境を整理する(視覚的なノイズを減らす)
  • タスクを小さなステップに分ける(達成感を得やすくする)

タスク管理法(認知行動療法に基づく戦略)

ADHDの特性に合わせた具体的なタスク管理法を取り入れることで、日々の仕事や学業を効率的に進めることができます。

【方法】
  • 優先順位の設定:タスクを「重要度」と「緊急度」で分類し、適切な順番で取り組む。
  • ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩):短時間で集中する習慣を作る。
  • タイマーやリマインダーを活用:時間感覚を補い、予定を守りやすくする。

感情の調整

ADHDに伴う苛立ちや不安をコントロールし、冷静に対応できるようにします。思考と感情の関係を理解し、適切なストレス対処法を学びます。

問題解決スキルの向上

問題を細分化し、段階的に解決策を考えるスキルを身につけることで、日常生活の課題を乗り越えやすくなります。

まとめ

ADHDの症状とうまく付き合うには、薬物療法だけでなく、日常生活に取り入れられる心理的アプローチが重要です。特に認知行動療法(CBT)は、ADHDの症状を理解し、行動を改善するための実践的な方法として有効です。
ADHDの症状に悩んでいる方は、認知行動療法を取り入れることで、より充実した生活を送ることができます。適切なサポートを受けながら、症状のコントロールに取り組んでいきましょう。

※本ページの記載は各疾患に対して認知行動療法がどのように用いられているかを一般論としてご紹介するものであり、本サービスは、医療行為の実施を目的とするものではありません。

■主な出典情報(参考文献・ガイドライン)
  • Barkley, R. A. (2015). Attention-Deficit Hyperactivity Disorder: A Handbook for Diagnosis and Treatment. Guilford Publications.
  • Ramsay, J. R., & Rostain, A. L. (2014). Cognitive-Behavioral Therapy for Adult ADHD: An Integrative Psychosocial and Medical Approach. Routledge.
  • American Psychiatric Association. (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5). American Psychiatric Association.
  • 日本神経精神薬理学会. ADHD治療ガイドライン. 日本神経精神薬理学会.
  • Solanto, M. V. (2011). Cognitive-Behavioral Therapy for ADHD in Adolescents and Adults: A Psychological Guide to Practice. Oxford University Press.
  • Safren, S. A., Sprich, S., Perlman, C. A., & Otto, M. W. (2005). Mastering Your Adult ADHD: A Cognitive-Behavioral Treatment Program. Oxford University Press.
  • National Institute of Mental Health. ADHD and Treatments. National Institute of Mental Health.

あなたの悩みに、科学的アプローチ

あなたの悩んでいることを紐解きながら、あなたの状況、悩みに合わせた認知行動カウンセリングを心理師と1対1でしっかり実践できます。

セルフヘルプ認知行動療法
アプリのご案内はコチラ

ご利用料金

※本サービスは、認知行動療法の手法を用いて、心理師が認知行動カウンセリングを行うものであり、医療行為の実施を目的とするものではありません。

カウンセリングを予約する サービスページはこちら