
ASD(自閉スペクトラム症)は、対人コミュニケーションの難しさや強いこだわり、感覚の過敏さや鈍さなどが特徴の神経発達症です。 知的能力や言語発達には幅があり、“発達の特性”としての個性と捉えられる一方で、日常生活や社会生活において困りごとを感じる方も少なくありません。 ASDの方にとって、自分の特性を理解し、環境や考え方を調整していくことが、生活の安定や自己肯定感の回復につながります。
ASDには、以下のような特性(困りごと)がみられます。
これらの困りごとに対し、認知行動療法では認知(考え方)と行動パターンの整理やストレス対処スキルの習得を通じて、自己理解・環境調整・行動の柔軟性を高めていきます。
まず大切なのは、本人の特性に合った環境調整と周囲の理解です。職場・学校・家庭での配慮がストレス軽減に大きく寄与します。
ASDの方に対しては、特性に合わせた個別的なCBT(認知行動療法)が有効とされており、以下のようなテーマで介入が行われます。
(※研究では不安・抑うつ・怒り調整・社会不安等の二次的困りごとにはエビデンスがあるとされている。)
自分の特性や過去の経験を振り返り、「できなかった自分」ではなく「特性に合っていなかった環境だった」と気づくことからスタートします。
「失敗したら全部だめ」「嫌われたに違いない」といった極端な自動思考を言語化し、現実的な解釈に切り替える練習をします。
場面に応じた振る舞いや、非言語情報(表情、声のトーン)への気づきを高める練習を行います。
自分の感情(怒り・不安・悲しみなど)をラベリングし、強くなりすぎた感情への対処スキルを習得します。
日常の「こうでなければならない」こだわりや、予測できない不安への小さな挑戦(曝露)を通じて、行動の幅を広げます。
ASDの方の多くは、「困っている」ことよりも、「困らされている」と感じていることが少なくありません。
特性を「治す」ものではなく、「理解して工夫する」ことが支援の本質です。
CBTは、ASDの方がより安心して社会の中で自分らしく生きるための考え方や行動の選択肢を広げてくれる支援の一つです。
あなたの悩んでいることを紐解きながら、あなたの状況、悩みに合わせた認知行動カウンセリングを心理師と1対1でしっかり実践できます。
※本サービスは、認知行動療法の手法を用いて、心理師が認知行動カウンセリングを行うものであり、医療行為の実施を目的とするものではありません。