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コラム法の書き方:思考と感情を整理して心を軽くするワークシート活用術

頭の中のモヤモヤを整理するために

「落ち込んで気持ちが重い」「不安が止まらない」「同じ考えをぐるぐるしてしまう」——
こうしたとき、頭の中にある思考と感情を“外に出して整理する”ことで、心がいくらか軽く感じられることがあります。

認知行動療法(CBT)で用いられる コラム法(コラムシート) は、
出来事・思考・感情を書き出し、柔軟で現実的な考え方を育てるための基本的なワークです。

この記事では、コラム法の基礎、書き方のコツ、つまずきやすいポイント、実生活への活用方法まで、流れに沿ってわかりやすく解説します。

コラム法とは?

頭の中の “思考のクセ” を見える化するワーク

コラム法(思考記録表)は、出来事に対して浮かぶ考え(自動思考)と感情を書き出し、
「事実」と「解釈」を切り分けるための認知行動療法の基本スキル です。

ネガティブな考え方のクセに気づき、心を揺らしすぎない柔軟な視点を身につけることを目的としています。

コラム法の目的

  • 感情に振り回されにくくなる
  • 客観的な見方ができる
  • 自分を責める思考がやわらぐ
  • 行動意欲や自尊心が回復しやすくなる

特に、ストレスや不安で思考が偏りやすいときに効果が現れやすいワークです。

コラム法で使う7つの項目

コラムシートは一般的に次の7項目で構成されます。

① 状況(出来事)
いつ・どこで・何が起きたかを客観的に書く。
② 感情
そのときの感情と強さ(0〜100)。
③ 自動思考
瞬間的に浮かんだ考えやイメージ。
④ 根拠(証拠)
自動思考を裏付ける事実。
⑤ 反証(別の根拠)
自動思考と異なる事実・別の見方ができる材料。
⑥ 適応的思考(バランスの取れた考え)
根拠と反証の両方をふまえ、より現実的で落ち着ける考えへ。
⑦ 感情の変化
適応的思考を考えた後の感情の変化を記録する。

記入例で見るコラム法

項目記入例
状況会議で自分の提案に誰も反応しなかった
感情落ち込み80/100、恥ずかしい60/100
自動思考「自分は無能だ」「誰にも必要とされていない」
根拠誰もコメントしなかった、上司がメモを取らなかった
反証同僚が後で「良いアイデアだね」と声をかけてくれた
適応的思考「会議中に意見が出なかっただけで、提案自体は悪くなかった可能性がある」
感情の変化落ち込み80→40、恥ずかしい60→30

書くことで感情がほぐれ、冷静に状況を見直せるようになります。

実践ステップ:コラム法をどのように進める?

ステップ1:書くタイミングを決める

  • 気分が落ち込んだとき
  • 不安・イライラが強いとき
  • 1日の終わりの振り返りとして

ステップ2:紙・アプリ・ノートを準備

専用シートや心の記録アプリを活用するのも有効。

ステップ3:落ち着いて書き出す

言語化するだけでも、脳の混乱が整理されやすくなります。

ステップ4:適応的思考を検討する

「現実的に考えると?」「友人ならどう声をかけてくれる?」と問いかけてみましょう。

ステップ5:感情の変化を確認

「少し軽くなった」「冷静になれた」という感覚が出れば成功です。

コラム法でつまずきやすいポイントとコツ

① 自動思考が書けない

→ 単語レベルでOK。「最悪」「恥ずかしい」「もうダメ」など断片的で問題ありません。

② 根拠と反証が浮かばない

→ 「友達が同じ状況だったら何と言う?」と想像すると整理しやすい。

③ 適応的思考が嘘っぽい

→ ポジティブではなく“現実的”が大事。
例)「完璧にできる」ではなく「改善点は見つかっている」。

コラム法が生活を変える理由

書き出すことで、

  • 思考のクセに気づける
  • 感情と事実を切り離せる
  • 自己批判のループから抜け出しやすくなる

脳科学的にも、言語化は扁桃体の興奮を下げ、前頭前皮質の働きを助けることが知られています。

継続するほど、
「考え込みすぎていたかも」
「事実と解釈を混同していたな」
と気づける回数が増え、心が軽くなる瞬間が多くなります。

コラム法が役立つ場面

  • うつ病・不安障害・ストレス反応
  • 自分を責めすぎるとき
  • 人間関係のトラブル時
  • 重要な決断の前に冷静さを取り戻したいとき

専門家のサポートを受けたほうが良いケース

  • 強い抑うつや希死念慮がある
  • 一人で考えが整理できない
  • 自動思考が極端で書けない

臨床心理士・公認心理師と一緒に行うと、より安全で深い気づきが得られます。

まとめ:コラム法で心に“ゆとり”をつくる

  • コラム法は「状況・感情・思考」を整理するワーク
  • ネガティブ思考のクセをゆるめ、柔軟な見方が育つ
  • 継続することで、ストレスに強い心の土台ができる

頭の中のモヤモヤを書き出すことは、自分を理解し、心を整える第一歩です。
ぜひ日常の中で少しずつ取り入れてみてください。

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参考文献一覧

■ 認知行動療法(CBT)・コラム法の基礎文献

  • Beck, J. S. (2021). Cognitive Behavior Therapy: Basics and Beyond. Guilford Press.
  • Greenberger, D. & Padesky, C. A. (2016). Mind Over Mood: Change How You Feel by Changing the Way You Think. Guilford Press.
  • Clark, D. A. & Beck, A. T. (2010). Cognitive Therapy of Anxiety Disorders: Science and Practice. Guilford Press.
  • Dobson, K. S. (Ed.). (2019). Handbook of Cognitive-Behavioral Therapies. Guilford Press.

■ 日本の専門機関による資料

■ 心理学的背景・脳科学的解説

  • Lieberman, M. D. (2011). Why Symbolic Processing Matters for Emotional Processing: Understanding the Neural Basis of Affective Labeling. Psychological Science, 22(10), 1301–1307.
    (※感情の言語化が扁桃体の活動を下げる研究としてコラム法の背景説明に合致)

■ 自己理解・感情整理に関する心理学文献

  • Hayes, S. C., Strosahl, K. D., & Wilson, K. G. (2011). Acceptance and Commitment Therapy: The Process and Practice of Mindful Change. Guilford Press.
    (価値に基づく行動や思考の観察というコラム法と関連する理論背景)
  • American Psychological Association (APA). Understanding Cognitive Behavioral Therapy.

■ メンタルヘルス・ストレス管理

  • WHO. Mental health: Strengthening our response.
     https://www.who.int/
  • Mayo Clinic. “Stress management: Understanding your response.”

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